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工場には、本当は素直でいい子なのに、妙に悪ぶったり反抗したりする若手がいます。こちらが安全のために注意しているだけなのに、妙に反発してきたり、ふてくされた態度を取ったりする事もあります。「従うのはダサい」「注意されると立場が弱くなる」そんなふうに感じているだけなのでしょう。ただ自分にもそういう尖った時代がありました。今思うと恥ずかしさと申し訳なさでたまりません。
そんな若手に対して、私にはずっと悩みがありました。というのも、職場には一人、親分肌で面倒見のいい同僚がいて、彼が声をかけると若手が一瞬で素直になる。「おい、そこ危ないぞ。位置だけ変えとけや」たったこれだけで、若手は「すんません!」とすぐ動く。彼の言葉には、なぜか反発が起きない。まるで魔法です。
一方で私は、同じように言っても「はいはい」「わかってますって」と最初は軽く流されることが多く、彼のような“懐に入る感じ”がどうしても出せず、正直かなり苦労しました。
そんな中で気づいたのは、親分肌の同僚は「人格ではなく行動だけを短く指摘する」「相手の否定をしない」「仲間の前では軽く、二人のときは本音で」という三つを自然にやっていたということです。あともう一つ、どの若手に対しても同じ温度で接するのです、真面目な時も軽口叩きながらでも。だからみな彼に懐き、慕う。恐怖で押さえつけているわけではない。でも「この人の言うことは聞かなきゃいけない」と自然に思わせるのです。何度も言いますが、私に言わせれば魔法です。
私もそれを真似しようとしたが、もちろんうまくいきませんでした。けれど、そのうち何となく若手の反応が少しずつ変わっていったんです。私は親分肌ではないので、そうではなく「お前らに俺を助けてほしいねん、」と本音のスタンスで接するようにしたのです。
例えば、「俺はお前を心配しているから言っているのだ」では彼らは上っ面のセリフを見抜きます。そもそも「心配している」ってのがヤツらからすると上から目線なんですよ(笑)。
だから、「ケガしたら痛いのはお前だけちゃうねんで、嫁はんや子供も痛いねんぞ?わしかてケガされたら色々めんどくさい」「アンタは痛ないんかい(笑)」と。だんだん、「この人の言う事なら聞いといたろか」って感じになってきた時はうれしかったですね。
当たり前ですが、人は教科書通りには動いてくれません。
工場での安全衛生・やんちゃな若手を相手に。


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