就業規則は、従業員が増えたら作ればいい?

 中小企業の相談を受けていると、「うちはまだ従業員が少ないから、就業規則は必要ないんです」という声をよく耳にします。”従業員が増えたら作ればいい”という考え方です。これは「常時10人以上の雇用があれば、就業規則を作成し労基署に届け出る義務がある」と労働基準法に決められているから、という事が根拠です。
 確かに法律上は「常時10人以上」で届出義務が発生します。しかし、義務がないから不要というわけではありませんし、義務なのは届出であり作成じゃない事が肝。むしろ人数が少ない段階ほど、トラブルが起きたときのダメージが大きいですよ。例えば、残業のルール、休日の扱い、遅刻・早退の控除、休職の基準、ハラスメント対応など、就業規則がないと“会社(というか社長)の判断”がすべて曖昧になります。曖昧なまま運用すると、従業員との認識のズレがそのままトラブルに直結します。

 就業規則がないと、会社としての判断基準が示せず、結果的に“言った・言わない”の世界に引きずり込まれてしまいます。就業規則は、従業員を縛るためのものではなく、会社と従業員の双方を守るための“共通ルール”です。人数が増えてから慌てて作ると、現場の実態と合わず、修正に追われることになります。
 考えてみてください。社員が3人くらいの頃は社長と社員がゆるーくざっくばらんに対応できていた事(良く言えば臨機応変、悪く言えば、曖昧)でも、いざ仕事の規模が広がって社員が増えた。さあ就業規則だ、となってもこれまでの流れはなかなか明文化できない。古い人はやりにくくなったと考え、新しい人は古い人との対応差に不公平感を感じる、なんて事にもなりかねません。
 当然就業規則は全員一律の基準です。ただ、一般的にそうするとこれまでの条件ややり方より渋く、面倒になってしまう事柄もあります。すると古い人にしてみればこれまでの条件は維持してもらいたい。けどそれを認めると新しい人にしてみれば不満ですわね?これはしんどい。

 就業規則は“従業員が増えたら作ればいい”ではなく、“少ないうちに作っておく方が安全”。これが実務のリアルです。会社のルールは、必要になってから作るのではなく、必要になる前に整えておくことが、結果的に会社を守る一番の近道になります。
 あと就業規則つくるときは、第三者の目線を入れて客観的に作るべきですよ。そこらへんは以前書いているので見てくだされば嬉しいです。「いい就業規則とは?」

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