中小企業がISO14001を取得するメリットとデメリット

 環境への取り組みが企業評価の重要な要素となり、ISO14001を取得する中小企業が増えています。私の前職でも重要な位置づけとしてとらえ、かなりの労力をそちらに割いていました。とはいえ、「本当にうちに必要なのか」「負担ばかり増えてるだけなのではないか」と迷うことも少なくありませんでした。そこで今回は、中小企業がISO14001を取得する際のメリットとデメリットを整理します。

 まずメリットとして大きいのは、取引先からの信頼向上です。特に製造業では、大手企業や自治体が調達基準として環境管理体制を求めるケースが増えています。ISO14001を取得しているだけで、営業面での評価が一段上がり、新規取引の審査でも有利に働きますし、そもそも取得していなければ大企業の調達基準の土俵にすら上がらせてもらえない、という事は普通にあります。
 また、環境リスクの管理が体系化されることで、廃棄物管理や法令順守が仕組みとして整い、事故や行政指導のリスクを減らす効果もあります。さらに、記録や点検が習慣化することで現場の改善が進み、無駄な作業やロスが減るなど、経営効率の向上にもつながります。採用面でも「環境に配慮した企業」というイメージは若手からの評価が高く、プラスに働きます。

 一方で、デメリットも確実に存在します。ISOはそもそも認証機関の認証があって初めて取得を謳えるわけですから、導入にはその認証機関に対するコンサル費用や審査費用がかかり、そして担当者の工数も大きくなります。
 また維持のためには内部監査(年に一回、身内同士でシステムの有効性を確かめ合う)や外部審査(認証機関が年に一回、その活動がISO基準に合致しているか確認する。)、文書管理など継続的な運用が必要で、担当者が疲弊するケースも見られます。
 また、目的が曖昧なまま、またはISO取得の目的・趣旨が十分社員に浸透していないと「審査のための書類作り」「なんだかよくわからないけどやらされてる」になり、現場から反発が出て形骸化することもあります。
 私の前職ではそれなりにまじめに活動していたと思いますが、ISO規格の求める活動を追求するほど紙資料が増えてしまい、「これで環境配慮につながるのか…」とジレンマに陥ったことも一度や二度ではありません。デジタルの画面を皆が公平に見る事の困難な製造工場では、どうしても資料は紙に頼らざるを得ないのです。

 ISO14001は、取引先の要求、現場の協力、担当者の確保という三つの条件が揃っている企業にとっては大きな価値を生む制度なことは間違いありません。導入を検討する際は、メリットと負担の両面を踏まえ、自社にとって本当に必要かどうかを見極めることが重要です。

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