「やってみたい」だけでは超えられない壁

 先日、年金相談員の募集に伴い、そのための研修参加事前説明会へ参加してきました。
 年金相談員とは、各地の年金事務所、街角年金相談センターに派遣され、様々な方々が持つ年金についての相談に応じる仕事です。そして相談員になるためには研修はもちろん、応募前に自身の心構えとして意識しておかなければならないことが多くあります。今回の説明会はそのためのものです。

 開業した社会保険労務士として、「年金相談員」という仕事には興味がありました。年金相談は社労士の専門性を生かせる業務の一つであり、多くの相談者の不安を解消できる、非常にやりがいのある仕事だと考えました。 
 しかし複雑な制度ですし、社労士だからと言ってすぐに窓口に出られるわけではありません。研修をはじめいくつものハードルがあります。

 そして実際に説明を受けてみると、その仕事の責任の重さを改めて実感しました。年金制度は非常に複雑で、老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金、被保険者期間の確認、繰上げ・繰下げ受給など、多岐にわたる知識が求められます。また、制度を知っているだけでは務まらず、相談者一人ひとりの状況を正確に把握し、分かりやすく説明する力や、限られた時間の中で的確に対応する力も必要になります。窓口に来る方々は文字通り人生を背負って相談に来られるのです。
 実は、日銭稼ぎで相談員も悪くないな、などという考えも正直少々あったのですが、とんでもない。自分の考えがあまりに浅はかであった事、猛省です。

 もちろん挑戦したい気持ちはありました。ただ足りない知識は勉強する事で埋めることはできますが、今自分に足りないのは知識ではなく「覚悟」だということに気付き、そのような状況で応募することは、自分にとっても相談者にとっても良い結果にはつながらないと判断し、今回は応募を見送ることにしました。
 もちろん、少し残念な気持ちもあります。しかし説明会に参加したことで、年金相談員という仕事に求められるレベルを知ることができたのは大きな収穫でした。実際に足を運ばなければ、「何となくできそう」という誤ったイメージのままだったかもしれません。説明会会場には若い方から私以上の年配の方まで、30人以上の社労士が集まっていましたが、どれくらいの方が応募されるのでしょうね。
 
 「見送る」という決断は、決して後ろ向きなものではないと思います。今の自分に必要なことを見極めることのできた有意義な時間だったと感じています。

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