フリーランスとしての境界線:無償での協力とは

 知人のルートより、「ある大手メーカー(の販売会社)が商品を販売する際、顧客に業務改善助成金の活用を含めた提案をしたい。ついては社労士が営業時同行し、説明と、必要ならば手続きをお願いしたい。」との話があった。
 そして先日対面しての打ち合わせがあったのだが、結論からいうと丁重にお断りして帰ってきた。

 あちらの考える手段はビジネスモデルとしては分かり易く、メーカーと社労士がタッグを組んで顧客に当たる事により、三方様々にメリットがある事は間違いない。
 ただ当方としては同行するには準備も必要であるし、そもそも時間を拘束される。そのうえで比較的抑えた日当を提示したところ、「一銭も払う気はない」とのこと。遠いところに交通機関使って泊りで行こうが、近場で飛込み的な営業に何軒か付き合おうが、すべて手弁当であると。
 はっきり言われた瞬間、正直こちらとしても腹が決まり、ここは付き合ってはいけないところだ、と直感し、お断りした。正直相手は誰もが聞いたことのある大手のメーカーであり、無償同行を請けたとしても助成金の手続き代行で手数料をいただける可能性はあったが、断った。
 そもそもの話、無償同行する時点でこちらがメーカーの営業活動に便乗している、との疑念を持たれる可能性もあり、それは本意ではない。そして社労士法第23条の2(非社会保険労務士との提携の禁止)に抵触する可能性もあり、そこはしっかり線引きをしておくべきだろうと思った。
 
 もちろん、企業であるメーカー側にも事情はあるのだろう。私だって会社勤めをしていたのだからわからないではない。ただ、こちらとしては「一緒に取り組む意思があるかどうか」が最も重要だ。そこを理解してくれない相手と組んでも、後々の運用や責任分担で必ず歪みが出る。
 一番違和感を感じたのは、私が日当を請求するのはあくまでそのメーカー相手であるはずだが、「もしあなたに日当を払ったら顧客の負担になる。それはダメでしょう。」と言った事。実際その企業の考え方、文化としてはそうかもしれない。でもそれを当の私に言うのは違うでしょ?
 こちらが何のためらいもなくお断りしたところ、若干「え?いいの?」って顔してましたが、私はあなた方の下請けでもないし、そこまで見下される謂れはない。あのままあちらの思惑のまま動く事になったとしても、おそらくストレスだけが積み重なる事になったでしょう。

 今回断る判断をしたことは決して後ろ向きではなく、むしろ(特に私自身の精神衛生上)健全な選択であったと思う。限られた時間と労力は、前向きに取り組む意思のある企業に使うべきだし、今回の経験は、相手の姿勢を見極める大切さを再確認する機会となり、そしてフリーランスとして守るべき一線を実感する良い勉強となりました。

乱筆、乱文ご容赦ください。

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