中小企業における人事評価制度

 先日目標管理制度についてその是非における自分の考えを記しましたが、目標管理制度とほぼセットになって導入されるのが、「人事評価制度」です。
 人事評価制度を導入する理由は主に
  1.公平な人事運用   2.従業員の成長促進(モチベーションの向上)  3.適材適所の配置
 を明快にすることにより組織運営上の基盤を高めることにあります。

 人事評価制度は基本的には下に掲げるような流れで進められます。
 1.個人の目標設定・・・前回記したように本人とその上司が組織の全体目標に沿った形で各々設定する。
 2.評価・・・導入時に作成した評価基準シートの項目に沿って、自己評価→上司評価→部門長評価→人事部門の最終チェック
 3.フィードバック・・・評価の結果をそのままにせず本人と面談を行い、ポイントを伝える。

 組織を運営していくうえで何とも魅力的に見える制度です。しかし
・今回評価される「その人」の評価は、複数いる評価者の誰が行っても同じ結果になるでしょうか。
・ある一人の評価者が複数の人員を評価するとき、そこに認知バイアス(好き嫌い、近接効果、ハロー効果(※)など)に全く影響されない人がどれくらいいるでしょうか。
(※近接効果-自分に近い人間に好感を持つこと。 ハロー効果-目立つ特徴に引っ張られて全体的な印象を持っていかれること。)
そして、それらの懸念があることを当然として、それらの差を埋めるために会社が評価者教育をどれだけ一生懸命行っているでしょうか。そして、受講者はどれぐらい真剣でしょうか。管理職を集め2時間の動画を見せて教育としていないでしょうか。

 断言しますが、評価される側の人たちはその評価軸に関してほぼ全員不満を持っており、そして自身が上司と折り合いが悪いと自覚している人はそれに加えあきらめの感情も持っています。なおここでいう不満は自身の評価へのそれ、だけではないことがポイントです。
 この評価は給与、賞与、昇進に大きくかかわっていることが普通ですので、よほどの納得感を被評価者に持ってもらわなければかえってモチベーションのダウンにつながり、職場の空気が澱む事につながりかねないのです。
 例えばそこの上長が、ある社員には顔を見る度何かと声をかけるのに、傍にいる社員には目も合わせない、ような状況で評価が正当に行われていると誰が思うか?曲がりなりにも人を評価するのであれば、普段からそういうことまで神経を使っているべきではないかと思うのです。

 大手企業ならば、社員がそのような状態であればこの制度を利用し、自身が面談の席などで違う環境を求めることや、その人をその環境から逃がしてあげることもできるでしょう(上記3.適材適所の配置)。ただ中小企業ではそれは選択肢として限られてしまうのです。中小企業で人事評価制度が絵に描いた餅になってしまいがちなのは、結局逃げ場、逃がし場がないから、ということもあるのです。

 だからどうするべきだ、という答えは私にはありません。が、そもそも人が人を評価する、などというおこがましい行為を行うのであれば、それにはそれだけの責任と労力を費やすべきだと考えます。
 

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